第36回(2023年)東京国際映画祭で審査委員特別賞と最優秀女優賞の2冠を達成した話題作『TATAMI』より、衝撃の本編映像が到着した。
映画史上で初めて、イスラエルとイランをルーツに持つ2人が共同で演出した本作は、実話をベースにした社会派ドラマ。スポーツ界への政治介入や中東の複雑な情勢、イラン社会における女性への抑圧を背景に、アスリートたちの不屈の“戦い”を臨場感溢れる映像で描き出す。
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解禁された映像は、女子世界柔道選手権で快進撃を続けるレイラに、監督のマルヤムが「いい勝ち方よ。次も困った時には相手にショックを…」と声をかける場面で始まる。その時、マルヤムの携帯電話にイラン柔道協会の会長から突然の電話が掛かってくる。
■『TATAMI』本編映像
電話口の声は「君に大事な話がある。協力してくれるね。ホセイニが上位入賞を狙えるのは少々心配な状況でもあるということ」だと告げる。「なぜです?」と問うと、「規則は知ってるはず、棄権を。占領政権の…ラヴィと対戦するからだ」と、互いに勝ち進めば戦うことになるイスラエル選手との対戦を避けるべく「棄権せよ」と命じられる。敵対国イスラエルとの対戦は、国家の威信に関わるため絶対に回避すべきだという至上命令だ。
レイラと二人三脚で練習を続けてきたマルヤムは、「無理です、本人もメダルが欲しいと。今日のためにどれだけ準備を…。彼女が金メダルを取ることは個人やチーム以上に国の名誉です」と、国家のために奮闘する選手の気持ちを代弁し食い下がる。だが、その声は「負傷でいい。政府の意向だ。反論はやめて協力してほしい」とにべもない。そして、「今回は怪我で棄権だが、次の大会で頑張ればいい。反論するな。指示を待て。棄権させろ」と厳命されてしまうのだが…。
突然の理不尽な国家の命令を受けて途方に暮れるマルヤムはどんな行動に出るのか。畳の上で孤独な戦いを続けるレイラは、まだ国家から至上命令が下ったことを知らない。この後、2人はどんな決断を下すことになるのか―。
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<オピニオンコメント全文(順不同)>
桜木健一(俳優)
正義とは何かを問われる問題作。難しいテーマをよく演じきったと感動!「TATAMI」に血がついた、のナレーションに僕は押さえ込みを掛けられた。返し技のないこの一本に参った!!
伊藤彩沙(声優)
呼吸すら忘れるほどの張り詰めた展開に、何度も息を飲みました。目の前で繰り広げられる試合の裏で、何が行われているのか─もし自分だったらと考えずにはいられません。世界中全ての人が自由であるようにと願っております。
LiLiCo(映画コメンテーター)
日本生まれのスポーツが世界を興奮させた!体力だけではなく、不平等や見えない力によって押しつぶされる心。太鼓の音が心臓の鼓動を刺激し、畳の匂いが伝わってくる。国のみならず家族からの信じがたい発言。知的で切なく、血流の速さを感じます。
知らなければいけないことで溢れている記憶に長く残る一本です。
2月28日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開