「不可能を成し遂げた多くのイラン人アスリートたちにインスパイアされた」『TATAMI』製作意図を語る監督コメント到着!

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1月31日(金)

柔道アクションと手に汗握るサスペンス『TATAMI』から、ガイ・ナッティヴ監督が、ストーリーのベースとなった事件やアスリートへのリスペクトを語るコメントが到着した。

イスラエル選手との対戦を避けるため、イラン政府から棄権を強要された女子柔道選手と監督の葛藤、「スポーツと政治」の問題を鋭く深く問うポリティカルスポーツエンターテインメント『TATAMI』は、実話にインスパイアされた作品だ。
2019年に日本武道館で行われた世界柔道選手権で、イラン出身の男子柔道選手サイード・モラエイが、敵対するイスラエルの選手との試合を棄権するよう政府から圧力をかけられた。最後まで試合に出場し続けたモラエイは、大会後、安全のためドイツに渡って難民認定を受けている。その後、東京五輪にはモンゴル代表として出場し、銀メダルを獲得した。
 
イスラエル出身のガイ・ナッティヴ監督は、「インスパイアされたのは、不可能を成し遂げた多くのイラン人アスリートたちです。フランスに亡命し、女性の権利の擁護者として活躍したイラン初の女子ボクシング選手サダフ・ハデムもその一人です。他にも、イランの英雄的なスポーツ選手であり、命の危険を承知でヒジャブを着用せずに協議に参加した、クライミング選手のエルナズ・レカビや、リオオリンピックでフェンシングの金メダリストとして注目されながら、政府からの圧力を理由に夫と亡命を決意したキミア・アリザデもそうです」と語り、国家の命令に翻弄されたアスリートたちに敬意を込めて、イラン出身のエルハム・エルファニと共同で脚本を執筆した。

本作は、サイード・モラエイ事件に加えて、2022年にイランで起こったマフサ・アミニ事件にも影響を受けている。当時22歳だったマフサ・アミニが、ヒジャブを適切にかぶらなかったことを理由にイランの風紀警察に逮捕・拘束され急死した事件だ。アミニの死は、「女性、命、自由」運動と呼ばれる大規模なデモへと発展。イラン全土を越え世界へと広がっていった。
マフサ・アミニ事件以前から脚本執筆を進めていたナッティヴ監督は、「実在の人々からインスパイアされてこの作品を作りましたが、女性革命がこれほど重要なものになるとは思いませんでした。私にとって、この映画は女性の視点から描かれるべきものでした。現在、イランで女性として生きることは、二級市民以下の扱いを受けることを意味し、マフサ・アミニの殺害以降、その緊急性はさらに高まっています。スポーツを続けることで脅迫を受け、イランから逃れたサダフ・ハデムが映画のコンサルタントを務めてくれました。非常に貴重なリソースであり、インスピレーションとなりました」とコメントしている。
 
初披露となる場面写真は、女子世界柔道選手権の壮行会に登壇する女子イランチームの選手が、緊張した面持ちで背筋を伸ばしている。


続いて、腕を組んで並び立つレイラとマルヤム。決戦に向けて闘志を漲らせる表情が強烈な一枚だ。


そして、畳の上で対戦相手をにらみつけ、微塵の隙も見せずに構えるレイラのカットが同時解禁となった。


さらに本作を鑑賞した、元柔道家の松本薫氏とゲームクリエイターの小島秀夫氏からのコメントも到着。元柔道家の松本薫は、「元アスリートとして心がギュッと締め付けられるような映画でした。人は知らず知らずにいろんなものを背負っているのかもしれない。背負ってるものを落としてみると新しい出会いがあるのかもしれない。全てのアスリートが自由でありますようにと願わずにはいられない。」と、アスリートが背負う重圧に寄り添い、選手たちの自由を願うコメント。ゲームクリエイターの小島秀夫は、「いやあ、驚いた。ただのスポーツものじゃない。このジリジリ来る緊張感。カメラワークと精緻な演出。スタンダードサイズのモノクロ映像。大会の裏側を炙り出す社会派柔道サスペンス。家族を人質に取られ、国を捨ててでも、自らの意志で“畳”に上がる彼女らの姿に、世界の今(いま)を見る。判定はいらない。勝ち負けは関係ない。本作は、間違いなく、“技あり”の傑作の“一本”だ。」と、計算された演出と、自由と尊厳のために戦う主人公たちの姿に胸を打たれたと絶賛のコメントを寄せている。

2月28日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開

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