シーシュポスたちのまなざし
©「シーシュポスたちのまなざし」製作委員会
大学でドキュメンタリーを専攻する黒田真優は、高校時代の経験をもとにしたドキュメンタリー映像の制作に取り組むことになる。高校時代、彼女が好意を寄せていた先輩の野島に、男性教諭の新田が不適切な性的行為を行ったという噂が立った。その噂は週刊誌の記事や、当事者の実名を晒すSNSの投稿によって広まり、野島は普通の生活を送れなくなってしまった。当時の真優は、そのような状況に理不尽さを感じていた。
そこで彼女は、些細なきっかけで噂やSNSの情報に影響されやすい集団心理の危うさを検証し、情報社会に警鐘を鳴らすような作品を制作することを目指す。しかし、撮影や取材を進めるうちに、地域社会がその騒動を掘り起こすことを歓迎していない現実を感じ、次第に取材は思い通りに進まなくなる。さらに、当時の自分が知らなかった事実や、忘れていた自身の行動、野島の意外な一面、そして新田と野島の関係性が次々と明らかになっていく。
真優は苦い青春の記憶を遡りながら、隠されていた過去の真実や様々な思惑に直面していくことになる――。